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 植物を人間社会に持ち込むことを疑問に感じた私は、植物の仕事を止めようと考えていた。

1981年中国の奥地=植物探検の計画があった。中国も文化大革命が終わり3年目の春、1月から友人の数十回にわたる電話の中で、何のための中国旅行なのか考えてみた。植物の源流を訪ねる『中国植物志』に記載されている植物=4万種にも興味があった。友人は自分で見た中国も参考になると、植物と縁遠いような話もでてきた。中国の政は中国の国民が考えることで、数千年の歴史からすれば今私がとやかく言うことではない。

 3月末日に参加することが決まったが、旅費は約80万円このお金が20日ほどで消えてしまうのだ。当時生活費が年間に100万円だった頃だから覚悟の旅になった。

続く・・・

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 先日、やっと政策福祉課の課長が要望書の回答をしてくれた。障害者担当の人が、国の見直しにより、通所・在宅サービス利用者の負担上限額が引き下げられたこと、個別減免の資産用件が拡大されたことをもったいぶって話してくれたが、その対象になるのは、あの中では、超貧乏な私ぐらいだろう。

子供が重い障害をもって一生を生きなければならないとすれば、親は爪に火をともしてでも、その子名義の土地や家を購入したり、預貯金を残すのは当たり前のこと。それはある意味、日本の社会福祉が以前からいかに貧しかったかのあらわれにすぎない。

『あんな猫の額ほどの土地のせいで、一生高い利用料を払っていかなくてはいけないなんて』『預貯金は何かあった時のためのもので、今すぐ使えるお金じゃない』『私たち、なんとか還元水なんか飲んでないし・・』 

みんなもの申す申し方がすごく上手くなった。負けてなかった。強くなった。

 結果は、何も変わらなかった。でも、私たちは変わった。図らずもこの悪法は、私たち障害者の『自立』を支援してくれたのかもしれない。『自立=自ら要求を持ち、他人の言いなりにならないこと』という意味において。

終わり
 4月27日成田空港から中国四川省峨眉山に向かった。総勢7名は未知の世界に興味津々だった。上海経由で空路四川省へ、きりがないので今回は成都からにした。車は静かな農村を走りながら何ヶ所かで休憩し、そのたびに新種かと思える植物が次々と目に飛び込んできた。

 日本の20年ほど前のなつかしい農村風景が目の前に見える。峨眉山の招待所に一泊し、翌日標高3100mの山登りは苦手だが、朝から目の中に飛び込んでくる植物に圧倒されているうちに山頂に登ってしまった。

 峨眉山には約三千種はあるだろうと言われる植物は、日本に自生しない植物が多く、初日は次々でてくる品種に圧倒されっぱなしだった。山頂近くの作業場で休憩した。黒い瓦のようなも物が箐の子の上に干してあったので、友人と『何物かと』と眺めていた。後日『峨繭蒟蒻』といって日本の凍り豆腐みたいにして作る保存食品だとわかった。

続く・・・
 山上のお寺で一泊し、下山はいくつかの伽藍に宿泊させていただき、下界のことなど忘れた数日を過ごすことができた。3mも伸びる蔓性のトリカブト・10Mもある電柱のようなアオキ・種子を付けるジャガ(日本のジャガは結実しない)など日本では考えられない植物が目の前に無限にあるかに思えた。

 数日の間に数百種の植物をみた私は、学者にくっついて成都『チョンツー』から夜行列車で重慶『ションチン』に向かった。次の目的はメタセコイアらしいが日本にもすでに植えられている樹木だ。三木茂博士が化石に付けた名前の樹木が中国湖北省利川県で1946年に確認され化石植物が生きていたことで有名になった。日本人で自生地を見るのは初めてだ。

長江は大河であり静かにゆったりと流れている。この重慶を侵略戦争で日本軍が空爆したのだ。ビザの延長許可をすませて長江をくだり、高家鎮で下船し、石柱県の迎えのジープに乗って目的地に向かう。我々が見ようとしているメタセコイアは、外国人がまだ確認したことのない自生地らしく、招待所に一泊翌日自生地に向かった。

続く・・・
 マイクロバスには林業局・県庁の職員・新聞記者も二人同行した。途中でいくつかの村を通過したが各所で職員が乗りマイクロは満員になった。途中数か所で植物を観察した。日本の学者が来るべき所だが、誘っても参加する学者はいなかったらしく、私が同行することになった。

 目の前にムラサキギボウシ・常緑のヤマボウシ・カエデなど日本では見られない品種が無限にでてくるようだ。途中からジープに乗り換え徒歩で30分ほど歩き世界一の巨木が前方にみえた。樹高40m・幹回り4mの大木は130年の樹齢の中で何を語ろうとしているのか、私はメタセコイアを訪ねた感激はもちろんだが、近くの民家での昼食にゆでていただいた大きなジャガイモは旨かった。

 また私たち二人にだされたのはお湯の入った茶碗??が、家主の好意で砂砂糖だったのだ。周囲の山野にはオウレンの栽培がさかんで、日本には90%輸出するらしい。

続く・・
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